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膝の痛みでお悩みの方へ(変形性膝関節症について)

膝の痛みがある方へ、こんな症状はありますか?

☑ 歩き始め、立ち上がり、階段昇降で痛む
☑ 正座が痛みで出来ない
☑ 歩行中、常に痛みがある
☑ 階段の昇り降りの際に、ぐらつく
☑ 膝の曲げ伸ばしが困難になり、膝の中でガクガク音がする
☑ 歩行時に体が揺れ、15分以上歩けない
☑ 膝がO脚に変形してきた

考えられる病名は?

膝の病気を理解するにはある程度の膝関節の知識が必要です。関節はクッションの役目をする関節軟骨とそれを支える軟骨下骨、そして関節腔を覆う滑膜(かつまく)と関節包によって構成されています。膝関節においては、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の形状が異なるため、それを補うために半月板という組織が中間に存在しています(図1)。
膝痛をきたす病気はたくさんありますが、代表的な3つの病気について解説します。
病気の進行が始まる部位は、①変形性膝関節症は関節軟骨から、②関節リウマチは滑膜から、③骨壊死は軟骨下骨、と考えると理解しやすいです。

①変形性膝関節症

関節軟骨の体重がかかる部位(荷重部)の軟骨がすり減る、一方本来体重のかからない部位(非荷重部)に、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨や軟骨の出っ張りができる、慢性的に進行する病気です(図2)。このあと変形性膝関節症について詳しく説明していきます。

②関節リウマチ

何らかの原因で(まだ詳しい原因はわかっていません)滑膜が異常増殖し、骨や軟骨を破壊する物質を放出することにより、関節が徐々に壊れていきます。変形性関節症のように骨棘はできません。関節症状に加えて貧血や微熱、全身倦怠感などの関節以外の全身症状を合併することもあります。

③膝骨壊死

軟骨下骨に脆い部位(多くは大腿骨の内側)ができて、弱い衝撃で小さな骨折が生じる病気です。よって、慢性に経過する変形性関節症や関節リウマチと異なり、急激に痛みが生じます。この痛みは時間が経過すると徐々に和らぎますが、骨が陥没した場合には、変形性膝関節症に進行する場合があります。

変形性膝関節症について詳しく説明します

症状

膝関節の役割を考えてみましょう。正座をするときには、膝を伸びた状態から完全に曲げる必要(可動性)があります。一方、椅子から立ち上がる時は膝がぐらつかないようにする役割(安定性)もしています。この可動性と安定性という相反する二つの役割を関節は担っています。変形性膝関節症に限らず膝の病気の症状は、可動性と安定性が、それぞれ単独か合併して障害されることで、症状が現れます。つまり可動性が障害されると、膝が曲がらなくなり正座やしゃがみ込みができなくなります。一方、安定性が障害されると、階段の昇り降りの際に膝がぐらつく症状が出るのです。

原因

実は、ほとんどの変形性膝関節症は原因が不明で、原発性と分類されます。一方、原因がわかっているものでは、膝周囲の骨折、膝の靭帯損傷、半月板損傷など続発性と分類されます。変形性関節症が悪化する要因としては、遺伝、加齢、性別(特に女性に多い)、O脚変形、膝動揺性(膝がぐらぐらする度合い)、肥満などが挙げられます。

治療法

保存的療法

  • 運動療法
    先ほどの変形性関節症を悪化させる要因のうち、O脚変形に対しては足底装具(靴の中敷き)、肥満に対しては減量や杖の使用によって、膝にかかる体重を減らす方法があります。膝がぐらぐらする症状に対しては装具の使用、太もも前面の筋力(大腿四頭筋)増強訓練があります。
  • 薬物療法
    内服、湿布、塗り薬などの薬がありますが、残念ながら変形性膝関節症に対する特効薬は現在存在しません。また、関節内に注入する薬としては、ヒアルロン酸とステロイドがあります。グルコサミン、コンドロイチンはよく患者さまから聞かれますが、変形性膝関節に対する治療効果は賛否両論あります。

手術

  1. 膝骨切り術

    O脚による変形性関節症の悪化を防ぐ目的で、脛骨(すねの骨)を切ってプレート(チタン製の板とスクリュー)で固定する手術です(図3)。脛骨を切ったのち、人工骨を使用し角度を矯正。そして、比較的正常な軟骨が残っている外側へ負荷を移動させます。この手術の一番のメリットは、何と言っても自分の膝関節が温存できることです。人工関節の場合は、正座は不可能となってしまいますが、骨切り術であれば、術後6割程度の方が正座可能です。また、スポーツや肉体労働などへの復帰も可能です。もちろん機能回復には、退院後も筋力強化を目的としたトレーニングを継続する事が大切です。

    【メリット】

    • 手術創が小さく、ご自身の関節が温存されます。
    • 日常生活への制限はなく、スポーツ活動も可能です。
    • 矯正に使用する人工骨は 2~3 年程度で自分の骨に置換されます。

    【デメリット】

    • 変形性関節症が軽症の方にしかこの手術はお勧めできません。
    • 喫煙者や高度肥満者の方には、この治療法は適しておりません。
    • 人工関節に比べて、入院期間、歩行に杖を必要とする期間が長くなります。
    • 骨が癒合するまでの2~3か月程度痛みが多少続くことがあります。
    • 10~15年後には人工関節が必要になる可能性はあります。よって術後1年で、プレートを抜く手術(入院は3~4日程度)をしたほうがいいです。
  2. 人工関節置換術
  3. 傷んだ軟骨を、金属製の関節に置き換える手術です(図4)。この手術は、軟骨や骨がひどくすり減った重症の場合にも対応が可能です。また、傷んだ部分が人工関節に置き換えるため、痛みを大幅に和らげることが期待できます。

    【メリット】

    • 重症の変形性関節症にも対応できます。
    • 骨切り術と比べ、入院期間、杖を必要とする期間が短いです。

    【デメリット】

    • 細菌感染に弱い
    • 術中・術後に、血栓ができることがあります。
    • 人工関節が緩む・すり減る可能性があります。

    入院期間(目安)

    • 高位脛骨骨切り術・・・3~4週間
    • 人工関節置換術・・・(片膝)3週間,(両膝)4週間

    術後について

    • 高位脛骨骨切り術
      術後2日目に車椅子に乗る、または両松葉杖で歩きます。術後3週で松葉杖一本での杖歩行訓練を開始し、術後4週で退院可能です。
    • 人工関節置換術
      片膝の場合、術後2日目に車椅子に乗る、または歩行器で歩きます。術後1~2週間で杖歩行訓練を開始し、術後3週で退院可能です。

Q&A

Q.車の運転はいつから可能ですか?
A.オートマ車の場合、左膝の手術であれば退院直後から。右膝手術の場合は、術後6週が経過して、なお且つ右脚で片足立ちが10秒できれば許可しています。

Q.仕事はいつから可能ですか?
A.原則術後6週間は屋外では杖を使用することをお勧めします。よって事務職などの座り仕事であり、通勤時には杖を使えるのであれば退院後から復職可能です。立つまたは歩く仕事については担当医にご相談ください。

人工膝関節についてよくある質問

Q.術後やってはいけない動作は?
A.術後できないことはあっても、特に禁止している動作はありません。

Q. 術後スポーツはできるか?
A.実際に、テニス、卓球、剣道を趣味程度にされている患者さまはいますが、全員ができるわけではありません。担当医にご相談ください。

Q.人工関節の耐用年数は? 
A.個人差はありますが、耐用年数は20年と言われています。

Q.電気治療は可能か?
A.一般的な電気刺激は問題ありませんが、極端に高い周波数帯の電気刺激治療器やマイクロ波治療器は、火傷の危険性があるため、器具の使用はお控えください。

Q.空港の保安検査の金属探知機でアラームがなることはないか?
A.探知機の感度設定によってはアラームが鳴るとき時があります。別室での追加検査は必要になるかもしれませんが通過できなかった患者さまはいません。

最後に・・・専門医からのメッセージ (整形外科副部長/関節センター長 兵頭晃医師より)

レントゲン写真で変形性膝関節症が進んでいる(軟骨が減っている)ので、早く手術したほうがいい」と他院で言われたと相談に来られる患者さまがよくいらっしゃいます。レントゲンの所見はもちろん大事ですが、手術のタイミングについては、①手術以外の治療法を試しても、痛み、膝がぐらつく、膝が曲がらない・伸びないなどの症状があり、日常生活、仕事、趣味において必要なこと、やりたいことができなくなっていないか,②反対の脚力は落ちていないか.③年齢の3点を考慮して手術をお勧めしています。
②と③は客観的に評価できますが、①については、例えば事務職で座り仕事が主であるか、営業など歩く仕事をしているかなど個人の生活の仕方によって異なります。膝の症状で悩んでいる方はぜひ一度来院してご相談ください。

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