多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズとは

白内障手術とは、濁ってしまった水晶体を取り出し、代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入する手術です。(より詳しく白内障について知りたい方はこちらをクリック)
この眼内レンズは単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類に分けられます。
単焦点眼内レンズは、1か所のみに焦点が合うレンズです。例えば、遠くに焦点に合わせた場合、近くを見る際に焦点が合わず老眼鏡が必要となります。反対に、近くに焦点を合わせた場合、遠く見るときは近視用の眼鏡が必要となります。
一方、多焦点眼内レンズは、複数(2か所以上)の距離に焦点に合うレンズです。そのため、眼鏡をできるだけ使用せず、日常生活において裸眼でも快適に過ごしたいという方におすすめします。
当院では、多種多様の多焦点眼内レンズをご用意しております。患者様のライフスタイルに合ったレンズをご提案いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。

当院の強み

Point① 確かな実績

当院は昭和5年に眼科医院から始まり、総合病院となった後も眼科診療に力を入れてきました。現在では、白内障手術だけでも年間5,000件の手術を行い、総勢11名の眼科医が各専門分野を持ち診療に当たっています。多焦点眼内レンズは、裸眼でも快適に過ごしたいという患者様のニーズに応える事が出来るレンズでもありますが、この手術は単焦点眼内レンズよりもより繊細な技術が要求されます。多焦点眼内レンズの白内障手術を専門としている医師がおりますので、まずは主治医にご相談ください。

Point② 専門の医師と視能訓練士による細やかな説明

個々の検査データに基づき、多焦点眼内レンズの専門知識を持つ医師・視能訓練士が、じっくり時間をかけてご説明いたします。多焦点眼内レンズの白内障手術は、すべて安藤祐子医師が行います。
患者様がレンズの特性を十分ご理解の上で、ご自身に合った多焦点眼内レンズをお選びいただきます。(視能訓練士について知りたい方はこちらをクリック)

Point③ 豊富なレンズの種類

当院では、多種多様の多焦点眼内レンズをご用意しております。国内承認を受けた選定療養対象のレンズと、国内未承認ではありますが、EUやアメリカでの安全基準を満たし、それぞれの国で独自の承認を得ているレンズもあります。
患者様の希望や眼の状態に合わせて一緒にレンズをお選びいたします。

多焦点眼内レンズの種類

焦点距離の目安

詳細 備考
遠方 1m 以上 運転 テレビ スポーツ 映画 散歩 など
中間 50cm~1m 買い物 料理 掃除 楽器演奏 PC 作業 など
近方 50cm 以下 読書 裁縫 書き物 お化粧 スマホ操作 など

選定療養(保険診療+自費)

白内障手術に係る費用(保険診療)に、多焦点眼内レンズ代(自費)が追加されます。レンズの種類によって金額が異なります。

テクニスシンフォニー

■ 医師からのコメント
2焦点レンズと比較して、くっきりとした視界・コントラスト感度を追求できると言われています。
その反面、近見は弱いので、老眼鏡をかけてもよいが、安全な歩行やスポーツなどを重視する方におすすめです。

近見の焦点距離 焦点深度拡張
∞~50cm
見え方 遠方・中間
レンズ費用
(片眼・税込み)
24万円 →2024年7月より26万円
乱視用
25万円 →2024年7月より28万円

クラレオン ビビティ

■ 医師からのコメント
光視症の発現を軽減したレンズです。近方には老眼鏡が必須ですが、日常生活で便利な場面が多いレンズです。

近見の焦点距離 拡張型
120~60㎝
見え方 遠方~中間
レンズ費用
(片眼・税込み)
32万円

テクニスシナジー

■ 医師からのコメント
回折型テクニスマルチフォーカルと焦点深度拡張型シンフォニーを組み合わせたハイブリット型で、遠方から中間距離までを連続的に見ることが可能です。
シンフォニーより近方の見え方は良好で、スマートフォンを頻用する方におすすめです。

近見の焦点距離 連続焦点
(2 焦点+焦点深度拡張)
∞~35cm
見え方 遠方~近方
(連続焦点)
レンズ費用
(片眼・税込み)
28万円 →2024年7月より30万円
乱視用
30万円 →2024年7月より35万円

テクニスオデッセイ

■ 医師からのコメント
テクニスシナジーの光視症を軽減したテクニスラインナップの最先端のモデルです。シナジーと比較して、近視の見え方はやや弱くなりますが、その分広い視野での良好な見え方が期待できるレンズです。

近見の焦点距離 連続焦点(全視界)
(2焦点+焦点深度拡張型)
∞~35cm
見え方 遠方~近方
(連続焦点(全視界))
レンズ費用
(片眼・税込み)
33万円
乱視用
38万円

クラレオンパンオプティクス

■ 医師からのコメント
遠方、中間(60 cm)、近方(40 cm)、の 3 焦点にピントが合うように設計されています。
中間と遠方がよく見える構造なので、パソコン作業の多い方におすすめです。

近見の焦点距離 3 焦点
∞・60cm・40cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
31万円 →2024年7月より32万円
乱視用
33万円 →2024年7月より34万円

ファインビジョンHP

■ 医師からのコメント
ファインビジョンは、ヨーロッパをはじめ、海外の多くの施設で使用されており、当院でも一番実績のある3焦点眼内レンズです。
小柄な体型の日本人にも近方が見えやすく設定された3焦点レンズのため、日常の多くの場面で眼鏡を使用せず、より快適に過ごすことが期待できます。

今回、HPというタイプが選定療養の対象になりました。今後は多くの方にとって選ばれるレンズになることでしょう。【2023年5月19日時点】

近見の焦点距離 3 焦点
∞・70cm・35cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
35万円

保険外診療(自費)

自由診療とは健康保険が適用されない診療のことで、治療費用はレンズ代も含め「完全自己負担」となります。多焦点眼内レンズの中で、厚生省が承認していないレンズが自由診療となります。
国内では未承認のレンズでも、EUやアメリカでの安全基準を満たし、それぞれの国で独自の承認を得ているレンズもあります。
保険外診療の多焦点眼内レンズは、入院費用(1 泊 2 日)、眼内レンズ費用、手術費用、術後 1ヶ月間における定期検査での外来診療費をすべて含みます。レンズの種類によって金額が異なります。

ミニウェルレディ

■ 医師からのコメント
広い焦点深度が可能で、遠方から中間でスムーズな見え方が可能に。また、ハロー・グレアが従来の多焦点眼内レンズに比べ大幅に改善されているのが特徴です。
夜間の運転などにおいてハロー・グレアが心配な方におすすめです。

近見の焦点距離 焦点深度拡張
∞~45cm
見え方 遠方~中間
レンズ・手術・入院費用すべて込み
(片眼・税込み)
70万円
乱視用
70万円 →2024年7月より75万円

ミニウェルプロクサ
※ミニウェルレディと併用

■ 医師からのコメント
このレンズは、ミニウェルレディで近方の見え方が物足りないと感じる方の反対眼にのみ挿入できる特殊なレンズとなっています。

近見の焦点距離 ミニウェルレディと併用で
∞~33cm
見え方 近方
レンズ・手術・入院費用すべて込み
(片眼・税込み)
70万円

エボルブ

■ 医師からのコメント
イタリアより高度近視、強度乱視の方にも対応できるオーダーメイドのレンズが登場しました。光視症が不安なすべての方におすすめです。

近見の焦点距離 焦点深度拡張
∞~50cm
見え方 遠方~中間
レンズ費用
(片眼・税込み)
70万円
乱視用
75万円

ファインビジョン

■ 医師からのコメント
遠方・中間・近方の 3 か所にピントが合う 3 焦点眼内レンズです。
日常の多くの場面で眼鏡を使用せず、より快適に過ごすことができるでしょう。

近見の焦点距離 3 焦点
∞・70cm・35cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ・手術・入院費用すべて込み
(片眼・税込み)
65万円 →2024年7月より70万円
乱視用
65万円 →2024年7月より70万円

インテンシティ

■ 医師からのコメント
5焦点により明所だけでなく暗所においても日常のほとんどの活動をカバーできます。また、ハロー・グレアが少ないため、夜間運転をされる方にも適しています。
世界的にも注目されている最新のレンズです。

近見の焦点距離 5 焦点
∞・133cm・80cm
・60cm・40cm
見え方 遠方、遠中、中間、近中、近方の5焦点
レンズ・手術・入院費用すべて込み
(片眼・税込み)
70万円
乱視用
70万円 →2024年7月より75万円

注意事項

ご確認ください

  • 多焦点眼内レンズはすべての距離に焦点が合うレンズ、また若い頃のような見え方に戻るレンズではありません。多焦点眼内レンズには様々な種類があり、それぞれで焦点距離が異なります。手術後も見るものや環境によっては、メガネ装用を要する場合があります。
  • コントラスト感度が低下する可能性があります。
    視界が白っぽく、膜がかかったようになり、コントラストが低下することがありますが、徐々に慣れてきます。
  • 光視症を発症する可能性があります。
    光視症とは、多焦点眼内レンズをもちいた白内障手術の代表的な副症状です。光が眼内レンズを通るときに乱反射をおこすことが原因であり、光の周辺に輪がかかって見える(ハロー)、夜の強い光をまぶしく感じる(グレア)、放射状に光ってみる(スターバースト)現象を指します。
    これらは視力予後に大きな影響を与えるものではありません。施術後数ヶ月、自然と気にならなくなることが一般的です。
    しかし、タクシー・トラック運転手の方のように、夜間運転する機会が多い方は、慎重にレンズを選択する必要があるでしょう。

コントラスト感度の低下や光視症の発症をかなり抑えることができるレンズもあります。患者様の希望に合わせたレンズをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。

最後に・・・専門医からのメッセージ (眼科 安藤祐子医師より)

多焦点眼内レンズを担当しております、安藤です。患者様が手術後によく見えるようになったと言ってくださるのが、私どもの一番の喜びでもあります。ご相談だけでもいいですから、是非外来にお越し下さい。
当院眼科の医師紹介ページはこちらからご覧ください。