多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズの種類について(選び方)

単焦点眼内レンズは、1か所のみに焦点が合う設計で作られています。例えば、遠方の焦点距離に合わせた場合、近方を見る際に焦点が合わず老眼鏡が必要となります。反対に、近方の焦点距離を重視した場合、遠方を見るときは近視用の眼鏡が必要となります。
多焦点眼内レンズは、眼鏡をできるだけ使用せずに、日常生活において裸眼でも快適に過ごしたいという声から開発されたレンズです。
ただし、多焦点眼内レンズを挿入したとしても、必ずしも眼鏡が不要になるとは言い切れません。日常生活の行為に応じて眼鏡の使用が必要になる場合があります。
多焦点眼内レンズの特性をご理解いただき、患者様の希望や眼の状態に合わせて一緒にレンズをお選びいたします。

光視症

光視症とは、多焦点眼内レンズをもちいた白内障手術の代表的な副症状です。光が眼内レンズを通るときに乱反射をおこすことが原因であり、光の周辺に輪がかかって見える(ハロー)、夜の強い光をまぶしく感じる(グレア)、放射状に光ってみる(スターバースト)現象を指します。
これらは視力予後に大きな影響を与えるものではありません。施術後数ヶ月、自然と気にならなくなることが一般的です。
しかし、タクシー・トラック運転手の方のように、夜間運転する機会が多い方は、慎重にレンズを選択する必要があるでしょう。

焦点距離の目安
遠方 1m 以上 運転 テレビ スポーツ 映画 散歩 など
中間 50cm~1m 買い物 料理 掃除 楽器演奏 PC 作業 など
近方 50cm 以下 読書 裁縫 書き物 お化粧 スマホ操作 など

■ 選定療養(保険診療+自費)

白内障手術に係る費用(保険診療)に、多焦点眼内レンズ代(自費)が追加されます。レンズの種類によって金額が異なります。

テクニスマルチフォーカル

■ 医師からのコメント
近方の焦点距離が3種類(50・42・33cm)あり、患者様のライフスタイルに合わせ、焦点距離が選択可能です。
夜間運転時の光視症は比較的強く感じるようです。
近方の見える所は、ピンポイントなので、近年は慣れやすさの点からも3焦点の方がおすすめです。

近見の焦点距離 2焦点
① ∞・50cm ② ∞・42cm ③ ∞・33cm
見え方 遠方・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
24万円

テクニスシンフォニー

■ 医師からのコメント
2焦点レンズと比較して、くっきりとした視界・コントラスト感度を追求できると言われています。
その反面、近見は弱いので、老眼鏡をかけてもよいが、安全な歩行やスポーツなどを重視する方におすすめです。

近見の焦点距離 焦点深度拡張
∞~50cm
見え方 遠方・中間
レンズ費用
(片眼・税込み)
24万円
乱視用
25万円

テクニスシナジー

■ 医師からのコメント
回折型テクニスマルチフォーカルと焦点深度拡張型シンフォニーを組み合わせたハイブリット型で、遠方から中間距離までを連続的に見ることが可能です。
シンフォニーより近方の見え方は良好で、スマートフォンを頻用する方におすすめです。

近見の焦点距離 連続焦点
(2 焦点+焦点深度拡張)
∞~35cm
見え方 遠方~近方
(連続焦点)
レンズ費用
(片眼・税込み)
28万円
乱視用
30万円

アクリソフ IQパンオプティクス

■ 医師からのコメント
遠方、中間(60 cm)、近方(40 cm)、の 3 焦点にピントが合うように設計されています。
中間と遠方がよく見える構造なので、パソコン作業の多い方におすすめです。

近見の焦点距離 3 焦点
∞・60cm・40cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
28万円
乱視用
30万円

クラレオンパンオプティクス

■ 医師からのコメント
遠方、中間(60 cm)、近方(40 cm)、の 3 焦点にピントが合うように設計されています。
中間と遠方がよく見える構造なので、パソコン作業の多い方におすすめです。

近見の焦点距離 3 焦点
∞・60cm・40cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
31万円
乱視用
33万円

ファインビジョンHP

■ 医師からのコメント
ファインビジョンは、ヨーロッパをはじめ、海外の多くの施設で使用されており、当院でも一番実績のある3焦点眼内レンズです。
小柄な体型の日本人にも近方が見えやすく設定された3焦点レンズのため、日常の多くの場面で眼鏡を使用せず、より快適に過ごすことが期待できます。

今回、HPというタイプが選定療養の対象になりました。今後は多くの方にとって選ばれるレンズになることでしょう。【2023年5月19日時点】

近見の焦点距離 3 焦点
∞・60cm・40cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
35万円

■ 保険外診療(自費)

白内障手術に係る費用(保険診療)に、多焦点眼内レンズ代(自費)が追加されます。レンズの種類によって金額が異なります。

ミニウェルレディ

■ 医師からのコメント
広い焦点深度が可能で、遠方から中間でスムーズな見え方が可能に。また、ハロー・グレアが従来の多焦点眼内レンズに比べ大幅に改善されているのが特徴です。
夜間の運転などにおいてハロー・グレアが心配な方におすすめです。

近見の焦点距離 焦点深度拡張
∞~45cm
見え方 遠方~中間
レンズ費用
(片眼・税込み)
70万円
乱視用
70万円

ミニウェルプロクサ
※ミニウェルレディと併用

■ 医師からのコメント
このレンズは、ミニウェルレディで近方の見え方が物足りないと感じる方の反対眼にのみ挿入できる特殊なレンズとなっています。

近見の焦点距離 ミニウェルレディと併用で
∞~33cm
見え方 近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
70万円

ファインビジョン

■ 医師からのコメント
遠方・中間・近方の 3 か所にピントが合う 3 焦点眼内レンズです。
日常の多くの場面で眼鏡を使用せず、より快適に過ごすことができるでしょう。

近見の焦点距離 3 焦点
∞・70cm・35cm
見え方 遠方・中間・近方
レンズ費用
(片眼・税込み)
65万円
乱視用
65万円

インテンシティ

■ 医師からのコメント
5焦点により明所だけでなく暗所においても日常のほとんどの活動をカバーできます。また、ハロー・グレアが少ないため、夜間運転をされる方にも適しています。
世界的にも注目されている最新のレンズです。

近見の焦点距離 5 焦点
∞・133cm・80cm
・60cm・40cm
見え方 遠方、遠中、中間、近中、近方の5焦点
レンズ費用
(片眼・税込み)
70万円
乱視用
70万円

眼内レンズには単焦点、多焦点と様々なレンズがございます。
まずは診察をさせていただき、患者様の希望をお聞きした上で、主治医が適切な眼内レンズをご提案いたします。
お困りなことがあれば、主治医へご相談ください。