食事療法

心臓病の治療・手術を受けた後には、症状がなくなり、健康に戻ったように思えます。しかしそこで油断せず、生活面の見直しをしましょう。生活面で最も重要なのが食事です。肥満ややせの予防・改善を軸に、高血圧や糖尿病など持病への対策もふまえて、食生活を見直していきましょう。

血圧管理のために減塩する。

心臓病の再発を防ぐには、血圧の管理が重要です。そのため、食事では塩分の取り過ぎに気を付けます。

いきなり減塩食にすると味気なく、挫折しがちです。まずは日頃の食生活のチェックをしてみましょう。
特に塩分を多く摂りやすい10項目を確認してみます。これらの習慣をひとつでも少なくすることから始めます。

塩分の取りすぎ

<減塩チェックリスト>

  • 味噌汁やスープを、1日に2杯は飲む。
  • かまぼこなどの練り製品、ハムなどの肉加工品をよく食べる。
  • 漬物や佃煮、梅干し、昆布など「ごはんの友」が好きで常備している。
  • おかき、せんべい、スナック菓子など塩・醤油のついた菓子をよく食べる。
  • ごはんよりもおかずをよく食べる。またはおかずを食べ過ぎている。
  • 魚の干物、塩さけ、塩さば、明太子などの塩蔵品をよく食べる。
  • 市販の惣菜やインスタント食品をよく利用する。
  • 外食することが多い。
  • 麺類のスープは半分以上飲む。
  • 寿司や丼ものをよく食べる。

体重管理のため、適正エネルギーの食事を摂る。

肥満は心臓病そのものだけでなく、高血圧症や糖尿病、脂質異常症など、心臓病の危険因子にも深く関わっています。逆に低栄養で痩せている方も摂取エネルギーが不足すると、本来は体を作るために使われる蛋白質でエネルギーの不足分を補うようになるので、蛋白質が不足し、血管が弱くなり、動脈硬化を起こしやすくなります。

<体重から摂取エネルギーの目安を知る>

身長(m)×身長(m)×22=標準体重(㎏)
標準体重×身体活動量(kcal/kg)=摂取エネルギー(kcal)
身体活動はデスクワーク中心で25~30、立ち仕事で30~35、力仕事は35以上です。

食べる時間帯、食べ方も工夫する。

食べる時間帯、食べ方の工夫

食事や間食は食べる時間帯によって、肥満につながります。甘いお菓子が食べたい時は昼間のうちに摂取エネルギーの範囲で食べましょう。夕方以降、特に夜遅い時間に食べると肥満の素になります。外食や総菜は、エネルギーも塩分も多めです。健康的なメニューを選ぶのに加えて、量が多いものは残すことを習慣にしましょう。

症状がなくても栄養相談を受ける。

心臓リハビリでは、医師や看護師が生活の一般的な注意点を患者様に伝えています。食事の相談は管理栄養士が担当します。具体的にどのような食べ物を摂れば良いか、どのように食べれば良いかを相談します。

① まずは主治医に相談する

より詳しい指導を受けたい時やすでに退院しているが、知りたいことがある時には、主治医に相談しましょう。主治医を通して管理栄養士に指導が頼めます。

主治医に相談

② 食べたものを記録する

生活改善の第一歩は、自分が何をどのくらい食べているのか自覚することです。そのためには記録をつけることが効果的です。手帳でもノートでも良いので、その日に食べたものを記録しましょう。間食したものがあれば、それも忘れずに記録します。

食べ物を記録する

③ 管理栄養士に記録をみせる

食べた時間や分量も記録できれば、より適切な指導が受けられます。管理栄養士から、食材の選び方や調理法外食や総菜でのメニューの選び方など改善ポイントが提案されます。細かいことで解らない点があれば、遠慮なく、質問して下さい。

管理栄養士に記録を見せる

④ 目標はセルフケアの習得

セルフケアとは、自主的に健康維持をはかることです。健康状態の確認、食生活の改善など、医師や栄養士の指示がなくても続けていけるようになるのが、理想です。最初は教えてもらわなければできませんが、徐々に覚えてセルフケアができるようになりましょう。

セルフケアの習得