寒さと心臓病

冬と血圧の関係

血圧は季節によって変動しますが、特に冬場は以下の理由で血圧が上昇することが知られています。

  • 寒さを感じると体温の発散を防ごうとするため血管が収縮する。
  • 冬は運動不足になりがちで、肥満になる。
  • 冬場は忘年会や新年会など飲酒の機会も増え、食事による塩分摂取が増える。

冬場だけ高血圧の薬の量が増えたり、普段は高血圧ではないのに冬になると治療が必要となるレベルに血圧が上がったりする人もいます。寒い時期は血圧のコントロールが難しくなることを認識して、いっそう生活習慣を引き締める必要があります。

冬と心臓病

心筋梗塞や心不全などの心臓病も冬に多く起こることが知られています。また厚生労働省の統計によると、心臓病による死亡数は1月が最も多く、次いで2月、12月、3月と冬季に集中、夏季のおよそ1.5倍にのぼりました。

心筋梗塞は、心臓に血液を供給する冠動脈が詰まって心臓の一部が壊死する病気です。動脈硬化が進行して血管が狭くなったところに血の塊(血栓)ができたり、血管が痙攣性に収縮(攣縮)したりして起こります。冬に多いのは、寒冷刺激で血管が収縮したり、血圧が上昇して心臓に負担がかかったり、食生活の乱れやアルコールの摂り過ぎで血栓ができやすくなっていたりすることが関連しています。

心不全は、心臓の機能が低下して全身に水がたまる病気です。特に胸や肺に水が溜まると呼吸が苦しくなります。心筋梗塞や高血圧など心臓の機能が低下する原因はいろいろありますが、そのような人が塩分・水分をとりすぎたり、血圧が上昇したり、風邪をひいたりすると心不全が起こりやすくなります。寒い冬に多いのは、血圧が上がることや塩分をとり過ぎることのほかに、風邪をひきやすいことも非常に関連しています。

そんな危険な冬をどう過ごすか?

気温の低下や急激な温度変化は高血圧や心臓病に大きく影響します。アルコールや塩分の過剰な摂取、肥満や運動不足も高血圧や心臓病の敵です。

外出時の対策

マフラーや手袋、防寒着などを着用して急に冷えないようにしましょう。 朝は血圧が上昇し始めます。寒い冬の朝は特に注意が必要です。散歩や運動は朝の時間帯は避けて、暖かい日中にしましょう。

室内での対策

トイレや浴室、脱衣所など家の中でも寒いところがあります。予め暖めておくなど温度差をなくすようにしましょう。夜間のトイレや早朝の起床時は一枚羽織るなど防寒の工夫をしましょう。

食生活の対策

アルコールは適量に、禁煙も重要です。食べ過ぎて体重を増やさないようにしましょう。塩分も控えめにしましょう。

感染への対策

風邪やインフルエンザなどの感染症は心不全の誘因になります。流行期はマスクうがい手洗いなど感染予防を励行しましょう。部屋は適度に加湿しましょう。インフルエンザの予防接種もぜひ受けてください。

寒い冬を健康に過ごしましょう!

ヒートショックという言葉を聞いたことがありますか?ヒートショックとは急激な温度変化、寒暖差で血圧が急上昇するということです。

温かい部屋→寒い脱衣所→すぐに熱い湯船に浸る
上記のように、一見、普段行いがちな行動で、実は血圧が約40近くも上がる可能性があるのです。ひどい場合には、心筋梗塞や脳梗塞を起こす可能性もあり、特に高齢者はヒートショックで亡くなる割合が多いことから注意が必要です。

ヒートショック なりやすい人

  • 65歳以上の高齢者の方
  • 高血圧や糖尿病の方
  • 動悸がしたり、心拍数やリズムが一定でない不整脈の方
  • 眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の方
  • 42℃以上など熱い風呂が好きな方
  • 太り気味な方や脂質異常症の方
  • アルコールを飲んだ後にお風呂に入る方

ヒートショックを防ぐには

  1. 冬場は脱衣室と浴室を暖く。
  2. 風呂の温度は38〜40度と低い湯にする。42〜43度は圧が高くなり危険です。
  3. 入浴時間は短めに。
  4. 入浴前後にコップ一杯の水分を補給する。
  5. 高齢者や心臓病の方が入浴中は、家族が声をかけチェック。
  6. 入浴前にアルコールは飲まない。
  7. 収縮期血圧が180mmHg以上または拡張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴を控える。
  8. 早朝起床時はコップ一杯の水を補給する。睡眠時の発汗で血液が濃縮しています。
  9. 寒い野外に出る時は、防寒着、マフラー、帽子、手袋などを着用し寒さを調整する。

正しい血圧の測り方

血圧は安静にしていれば一定になると考えがちですが、実は一日の中でも変動しています。血圧は寝ている間が最も低く、朝起きると共に上昇をはじめます。昼間活動時は高めに推移し、寝る前にまた下降していきます。

ではいつ測れば良いのでしょうか?
一般的には朝起きてから1時間以内、朝食前でトイレ後の測定値が「自宅測定の基準値」とされています。

その理由は、第一にまだ活動を始める前のため血圧が不用意に上がっていないことが挙げられます。そして降圧剤は朝食後に服用するので薬による降圧の影響が最も少ないのです。朝は毎日繰り返す生活の中で同じ環境、同じ体調で測定できる限られた時間帯です。トイレ後というのは、一般的にトイレを我慢すると血圧が上がってしまうためです。

一日一回だけ測るなら朝に測定をしましょう。
追加で測定するなら次は夜寝る前がいいでしょう。

血圧手帳や心不全手帳をお持ちですか?
毎日記入することで日々の体調管理に繋げましょう。