第6回 “白内障④” 手術後のケアを大切に(11月18日)

瞳みつめて 第6回「白内障④~手術後のケアを大切に」

 白内障のために見えにくさを感じたら、心配せずに手術を受けてください。痛みなく短時間で終了し、きっと見える喜びを実感していただけます。
 ただし、あっという間の手術でも、術後のケアはとても大切です。定期的な診察はもちろん、処方された点眼薬を正しく使って炎症や感染を防ぎます。目の表面の切開創はほんの数ミリですが、これがちゃんと閉じるまでの2週間くらいは「こすらない、バイ菌を入れない、ぶつけない」に注意してください。痒いからといって目をこすったり、汚れた水や汗を入れないように気を付けます。
 一度使ったタオルやハンカチにはバイ菌が多いので、点眼の際にはティッシュを使ってください。術後に白目(結膜)が赤くなったり、多少ゴロゴロしても次第に良くなります。しかし、急にかすんで見えにくかったり、痛みを感じるようならすぐに手術を受けた病院で診察してもらってください。
 手術後は眼鏡無しでも遠くも近くも見えるようになるわけではありません。アクリル樹脂などの眼内レンズは、本来の水晶体のように厚みを変えてピント調節することはできず、一定の距離にだけ焦点が合うようにデザインされています。ですから、術後数か月して度が安定してきたころに、必要に応じて見たい距離に合わせて眼鏡を作ります。
 「早く手術すると、再発してまた手術が必要なんでしょ?」とよく聞かれます。白内障の手術後、眼内レンズを入れるために残した水晶体の袋(嚢)が濁ってくる場合はありますが、これは手術ではなく外来のレーザーで数分のうちにきれいにできます。ですから皆さんには「眼内レンズは200年くらい透明なまま安泰です。だからどうか長生きしてくださいね」とお話ししています。「あらやだ!」と元気に笑う皆さんのリアクションを見るのも私の楽しみです。

総合新川橋病院
副院長 眼科 薄井紀夫

画像ファイルでもご覧いただけます。(神奈川新聞社著作物使用許諾済み)