第10回 “涙の悩み” 今の時季は乾燥に注意(1月20日)
瞳みつめて 第10回「涙の悩み~今の時季は乾燥に注意」
「出なくてショボショボ」「たまってウルウル」「溢れてポロポロ」・・・。涙に関連した症状で眼科を訪れる患者さんは数多くおられます。
涙には、涙腺からの水分だけでなく、まぶたの腺から分泌される油分や、結膜から産生される粘液のほか、タンパク質、酵素、電解質などがたくさん含まれています。涙は目の表面が乾燥しないように潤いを保ち、老廃物や異物を洗い流し、瞬きの際にまぶたとの摩擦を減らし、目を感染からも守っています。
日に2~3ミリリットル分泌される涙は目を潤した後、上下まぶたの鼻側にある小さな穴(涙点)から排出され、細い管(涙小管→涙嚢→鼻涙管)を通って鼻に流れていきます。
多彩な役割を担っている涙、その量や質に異常を生じたり、排出が滞るとさまざまな症状があらわれてきます。
「目の渇き」を訴える患者さんの中には、確かに涙の分泌量が少ない「ドライアイ」の人もいますが、実は涙は十分出ているにもかかわらず、他の原因で乾燥感を自覚する方も少なくありません。涙は瞬きのときに分泌されるので、パソコンの画面などに集中し過ぎて瞬きの回数が減れば当然目の表面は乾いてしまいます。
特に今の時季、乾燥した部屋では涙が蒸発しやすいので注意が必要です。涙の量だけでなく質が変化しても蒸発しやすくなったり、目の表面にキズがついたりでショボショボ、ゴロゴロしてきます。
涙があふれる場合は、角膜や結膜の疾患などによる刺激で涙の過剰分泌が起こっているか、排出する管が細くなったり詰まったりで涙がうまく鼻に流れていかないかのいずれかが考えられます。
涙の悩みも相談してください。分泌や排出、さらに目の表面の状態を正しく判断して治療を行えばきっとつらさを解消できます。
「酒と泪と男と女」、昔よくカラオケで歌いました。いい歌です。「俺は男、泪はみせられないもの・・・」。泣けます。
総合新川橋病院
副院長 眼科 薄井紀夫
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