第14回 “目は全身の窓” 眼科で見つかる疾患(3月17日)
瞳みつめて 第14回「目は全身の窓~眼科で見つかる疾患」
目は「全身の窓」といわれます。体の病気は目にも変化を来たしやすく、目を観察することでそれらを発見できるからです。
全身疾患の多くは血液や免疫を介して全身の血管に影響を及ぼしますが、血管が多く血流が豊富な目にはその変化がいち早く表れてきます。眼科で日常的に行われている眼底検査では、網膜の血管自体を直接観察できるので、わずかな血管異常を早期に見つけられます。
また、視野や眼球運動の異常では、視神経や動眼神経などに障害を起こす脳疾患の可能性も考えます。さらに、炎症性疾患や感染症の中には、全身の中でも特に目に変化を起こしやすい場合もあります。したがって眼科受診がきっかけで全身の病気が見つかることはまれではありません。
動脈硬化、高血圧、腎臓病、糖尿病、甲状腺疾患、炎症性疾患(サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病)、感染症(敗血症、梅毒、結核、ヘルペスウイルス感染症、真菌感染症、ヒト免疫不全ウイルス感染症、トキソプラズマ症、トキソカラ症)、腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、強直性脊椎炎、リウマチ、脳疾患(脳腫瘍、脳動脈瘤、脳血管障害、多発性硬化症)、血液疾患(貧血、白血病、悪性リンパ腫)、シェーグレン症候群、重症筋無力症、大動脈炎症候群・・・。数多くの病気が目にも変化をもたらす可能性があります。
ですから、目の不調を単なる加齢や疲れなどと考えず、あるいは仮に目に異常を感じなくても、どうかたまに「全身の窓」から様子を見せてください。思わぬ体の病気が見つかるかもしれません。
目は「心の窓」ともいわれます。春を迎えた今の時季、送別会や卒業式などで窓には一滴の涙が流れます。このコラムも次回が最終回。私の窓もかすんでいます。
総合新川橋病院
副院長 眼科 薄井紀夫
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