第8回 “緑内障” 安心のためまずは受診を(12月16日)
瞳みつめて 第8回「緑内障~安心のためまずは受診を」
緑内障は失明する怖い病気―。今日は皆さんのそんな誤解をすっきり解消します。
緑内障とはどういう病気でしょうか?目の中には水が詰まっていますが、その水は目の中で絶えず作られ、目の中を潤し、そして目の外に排出されています。しかし何らかの理由で水の排出が悪くなると眼圧(目の内圧)が高くなり、視神経(視覚情報を脳に伝える神経線維)が圧迫されて障害を受け、次第に見え方に支障を来してしまう・・・それが緑内障という病気です。
緑内障は怖い病気である理由は大きく二つ。緑内障はどんなに生活習慣などに気をつけていても発症を防ぐことができず、40歳以上の20人に1人は認められるとても多い疾患である点。そしてもう一つは、初めから視力が低下するわけではなく、視野(見える範囲)の端の方が少しずつ見えにくくなるだけなので、自覚症状に乏しく知らないうちに進行してしまう点です。
人は視力低下には敏感でも視野が狭くなること(視野狭窄)には意外なほど鈍感で、視野狭窄が視界の中心に及ぶようになってはじめて異常に気づく人も少なくありません。
なーんだ、やっぱり怖い病気じゃないか!
待ってください。それは、皆さんが眼科を訪れなければの話です。診察さえさせていただければ緑内障の診断は難しくありません。しかも、最近はとても有効な目薬があり、日に1~2回点眼するだけで眼圧がコントロールでき、視野狭窄の進行も防げます。目薬だけで不十分な場合には手術を行いますが、その手術方法も洗練されたものです。つまり、もし皆さんが緑内障だとしても、適切な治療を受けさえすれば将来見えなくなることはないのです。
緑内障に限らず、病院に行かなければ進行してしまう怖い病気はたくさんあります。でも、病院にはそんな怖い病気を安心に変える確かなすべがちゃんと用意されています。
総合新川橋病院
副院長 眼科 薄井紀夫
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